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「この慰謝料というのは? 病院で何か手違いが?」
泉さんがすかさず、聞き込みを開始する。
さすが、刑事。金が絡んだ刑事事件っぽいもんね。
「あ……、それは……」
音無さんは泉さんに答えようとしたけれど、言葉を続けず、光の方を向いた。
それから、光の膝の上で硬く握られている拳に手を置いて
「光……。これから話すことは、光には辛いことかもしれない。いいか?」
そう前置きした。
刹那、前に座っていた泉さんは素早く立ち上がり、音無さんと光の間に割り込んだ。
「大丈夫です。光さんは私が支えますから」
そうきっぱり言い放って、音無さんの手を握ってあっちの膝に戻し、光の拳を両手で掴んだ。
「は~い。泉さん、落ち着いて~。こっちに座りなさいよ!」
その様子を見た私は、立ちあがって泉さんに席を譲り、泉さんがいた場所に座りなおした。
ったく……、大人げないんだから! 小学生か!?
泉さんを睨みつつ、けれど、光を支えてくれるだろう存在に安心した。
悔しいから、顔には出さないけどね……。
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