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音無さんは、若干『出鼻をくじかれました』って感じで、何とも複雑な表情をしていたけど、気を取り直すようにコホンコホンと咳をして、弁護士の顔に戻した。
それから一気に言い放った。
「宝田聖子さんは、ここに記されている病院、セリア・ホスピタルで『人工授精』を受けたんだ。
当時アメリカの富裕層で流行りつつあった『デザイナー・ベイビー』に影響を受けたようなんだ……」
「なんじゃ、それは?」
師範が怪訝な声を上げる。
「それは、つまり、――条件にあった遺伝子を持つ精子を人工的に授精させて、妊娠、出産することです。
聖子さんの条件は――『ゴールデン・ヘア アンド ブルーアイズ、ガール』
つまり、『金髪で碧眼の女の子希望』と書類に記入しています……」
音無さんは苦々しくそう口にした。
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