☆彡 パンドラ後半

2/19
前へ
/408ページ
次へ
 その後、私たちは音無さんが入れてくれたハーブティーを飲んで、気持ちを落ち着かせた。 「では……、続きを始めます」  全員が飲み終わるタイミングで音無さんが宣言すると、私たちはまたソファへと移動した。  今度は最初から、泉さんが光の隣に座る。  よく見ると泉さんの目元も赤く縁どられていたけど、泉さんは力強く光の手を握っていた。 「それでは、ここまでをまとめます」  音無さんが全員を見渡して、これまでの経緯をおさらいした。 「宝田聖子さんは、人工授精によって子供を出産しました。  しかしその子供は自分の希望通りではなかった。にも拘らず、彼女は襲い掛かってきた犯人から、命がけで子供を守りぬきました。  このことは、殺人事件として立証され、生命保険会社から満額で20万ドル支払われました」  そう言って、古い切り抜きのコピーをテーブルの上に置いた。  そこには『人口受精で産んだ子供を命がけで守る母の愛』と題された古い切り抜きがあった。 「なんで日本語? この事件、ニューヨークで起きたんですよね?」  私は切り抜きを手に取り、音無さんを見遣った。 「あぁ、これは、宝田文照氏が持っていたモノなんだ。出処はわからないが……。  日本人の事件だったから、日本でも話題になったのかも知れない」  音無さんは私に向けて話しつつ、ここにいる全員に向けて更に話を進めた。
/408ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加