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「小枝子さん、こちらへどうぞ」
音無さんは、自身と向かい合わせに位置するシングルチェアに、その女性を座らせた。
「小枝子さん、紹介しておきます。こちらが、光さんの恋人の泉春香さん。で、こちらは友人の中山明子さんです」
音無さんが事務的に紹介したから、私も泉さんも黙って頭を下げた。
「小枝子さん、良く来てくれましたね」
音無さんは、少し声を柔らかくして、話しかけた。にも拘らず、小枝子さんは黙って目線を落としたままで「どこまで話しましたか?」と質問を投げかけた。
「書類の説明は終わりました」
音無さんが短く答えると「そうですか……」と息を吐いて、光に体を向けた。
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