☆彡 パンドラ後半

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「私達は、聖子に会いに行くための準備を始めました。  これまで心配してくれた方々に連絡したり、警察へ出していた捜索願も取り下げました。  親戚からは、非難を受けていたらしく『自立してニューヨークでダンサーをしている』なんて……、誇らしげに報告している父や母を覚えている……」  ここまで一気によどみなく語っていたのに、小枝子さんは急に押し黙った。  そして固唾を呑んで見守る私たちを眺めて、光に目をやって。――薄暗い表情に変わった。 「でもね、週刊誌が発売されて、私達は一気に奈落に突き落とされたの。  『ニューヨークで売れっ子ダンサー』だなんて……ね。  うまいこと言ったもんよね。  週刊誌にはめられたって、記事を見てやっと気がついたんだから……。姉の職業は」   「ちょ、ちょっと、待ってください!!」  小枝子さんの顔が自虐的に歪んだのを見て、私は思わず叫び声をあげた。  この先は言わないで――!
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