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柏木さんが言っていたもの。
『ストリップダンサー殺害の』って。
私が真田教授に質問した、あれは……。
震える私を小枝子さんが見据えた。その瞳は氷のように冷たい。
けれど、芯は熱い。
もう何十年もの間、胸の中に抑え込んでいたマグマを今、ここで噴火させるつもりなんだ。
「中山さんでしたっけ? 私がどうしてここに来たかわかる?
今までずっと、何年も、沈黙してきた私が?」
何も答えられない私に代わり、光が口を開いた。
「小枝ちゃん、続けて……。明子、私は大丈夫だよ?」
その言葉に頷けない私を一瞥した後、小枝子さんは鞄から古い雑誌を取り出した。
表紙は、下着姿のモデルが怪しいポーズを決めている、いかにも卑猥な雑誌の類だった。
小枝子さんは付箋が貼ってあるページを開いた。
カラーが一枚。
かろうじて下着は身に着けているものの、赤いライトの下、淫らなポーズを観客に向けている女性。
その悦楽的な表情は、どこか光に似ていた。
そして、同じようにどこか小枝子さんに似ていた。
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