☆彡 パンドラ後半

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『父は言いました。お前には決まった結婚相手がいる。私の会社に有益な相手だ。お前ができることは、せいぜい相手側に気に入られるように女を磨くことだ。幸い、小枝子と違って見た目だけは良いからな』 『母は言いました。聖子ちゃん、女の幸せは結婚なのよ。そうすれば、生きていけるの。  余計なことを考えたら駄目よ。男なんてどれも一緒。より条件の良い人と結婚することで幸せになれるの』 『妹は言いました。お姉ちゃんは、綺麗な顔で生まれたんだからせいぜい男に媚び売って生きたらいいのよ。私はこの家を出て行くけどね。こんな家、まっぴら』 『私は私の人生を生きたい。誰のためじゃなくて、私自身のために。でも、両親は私がそう話したとたん、私を家から追い出したのです。親の言いなりにならない娘は必要ないのだと、突き付けられました』 「これ、本当のことなんですか?」  思わず小枝子さんに素で訊いてしまった。  だって、いくら20年以上前の話だとしても、こんなことを言う親が実際にいるのか疑わしかった。
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