☆彡 パンドラ後半

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 小枝子さんは黙って、私を睨みつけた。 「私は子供だったの。だから知らないわ。でも、私がこの家を嫌っていたのは、本当」 「じゃあ、中らずと雖も遠からず、ってやつなの? そんなの、私でも家出するわよっ! っつ」  思わず声を荒げて言い返してから、光に向けて「ごめん……」と声をかけた。  光はじっと雑誌の写真を眺めていた。  その姿が、傍から見ているとあまりにも痛々しくて……、やるせない。 「小枝ちゃん……」 「な、なに? 光」  光の呼びかけに、小枝子さんは少し身構えて声を上ずらせた。  光の方は、そんな小枝子さんを見ることなく、写真に目を落としている。そして 「この雑誌、もらってもいいかな?」  そう小さく問いかけた。 「私、セイコさんの姿、初めて見たから……」  顔を上げた光の表情は、どこか幼くて、何かに縋っているみたいで。  横にいた泉さんが無言で抱きしめるくらいに儚かった。  泉さんの腕の中にいてくれて良かった。  そうじゃなかったら、今すぐ消えてしまうんじゃないか……って怖くなるくらい、その姿は弱々しく、ぼんやりしていた。
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