☆彡 パンドラ後半

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「私達は……」  小枝子さんは静かに、言葉を発した。 「私達は……、この雑誌を無視することに決めたの……。  誰に、何を聞かれても、『これはデマだ。これは聖子じゃない』って言い続けたの。親戚との縁も一切切ることにしてね。  で、その頃からかな、お父さんの会社が傾き始めてね……。家の中は荒んでた」  すっかり毒気を抜かれたように、小枝子さんは淡々と話続けた。 「そんな時よ。あの人から連絡が来たのは……。  『子どもが出来たから、帰りたい』って言ってきたの」  その先の話は、知っている。だって日記に書いてあったことを泉さんから聞いていたから。でも、小枝子さんの口から改めて知らされた。 「私たちは、姉の申し出を突っぱねたの。  勝手に家を出て、勝手にあんな仕事して、私たちがどんな目に遭ってるか、って考えもしないで、今更どの面下げて戻って来るんだ! って……」  小枝子さんの唇は、細かく震えていた。  その震えが、怒りから来るものか、後悔から来るものか、あるいはその両方からなのか……、私にはわからない。  けど、きっとどうすることもできないほど、この家族の絆はボロボロに壊れていたということだけは、想像がつく。  ここにいる全員がそう思っているのか、口を挟むものは誰もいなかった。
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