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「あの、ノート……」
小枝子さんは、暗い表情で話し出した。
「お母さんの遺品を整理しているときだった。あの、ノートを見つけたの。
お父さんが亡くなった後、すぐにお母さんが倒れたでしょ。
心労だったのよ。血圧も高かったのに、薬も飲まなかった。
普段から死にたがっていたの。
お父さんが亡くなったショックから、あんな風になってしまったんだと思ってたんだけど、今思えば、きっと死ぬ間際に、お父さんから全て聞いたんだと思う。
あのノートが入っていた引き出しにね、姉さんが『真田』という人に宛てた手紙が一緒に入っていた。
子供が愛しくてたまらない、っていう内容でね、ワープロで打たれていた。
姉さんがそんなに器用なわけない、って思ったわ。
少なくとも、私が知っている姉さんは、大雑把でいつも走り書きだった。
手紙にワープロを使うなんて、考えられない。
それにね、名前がね、『セイコ』ってカタカナで書いてあったの。
日記の名前は、星の子で『星子』って記してあったでしょ。
姉さんはずっと言っていたからね、私の名前はスターの星子よ。ってね……
だから、日記は本物で、手紙は偽物だ、ってすぐにわかった。
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