☆彡 パンドラの真実

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「文照氏は、アメリカで光を引き取るとき、例のノートと真田に宛てた手紙のコピーを、聖子さんの遺品として受け取ったらしい。  そして会社が落ち着いた頃『真田』という人物にコンタクトを取った。  目的は、例の手紙が本物かどうか確かめるためだったようだ。  小枝子さんも言っていたが、文照氏も手紙に疑問を感じたんだろうな。  真田との面談は、沢村弁護士事務所で行われた。  沢村弁護士はこの面談に参加し、記録としてメモを残した。しかしその後、文照氏と相談して、この一連の出来事を『宝田家の極秘事項』として封印することに決めたんだ」    音無さんは表情を消している。事務的に進行しようとしているんだと思う。  でも、緊張しているオーラが出まくりだから、伝染してこっちまで震えてくる。    音無さんの手元を目で追っている自分に気が付いて、チラリと泉さんを見ると、拳を握りしめて目を閉じている。  そして私がもう一度視線を戻すと、音無さんがアタッシュケースの中から古いメモ帳を取り出し、ページを開いたところだった。
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