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光の行動パターンだって、大した変化はなかったはず。
ただ、あの日は違っていた。
ゴールデンウィークの初日、光が急に移動したのだから、泉さんは驚いたに違いない。
せっかくの休みだとばかりに惰眠を貪っていた私は、泉さんからの電話で起こされた。
『光? 今日は一緒じゃないわよ? どうしたの?』
そう聞いた私に『明子さんが一緒じゃないとすると……。いや、何でもないです。ありがとうございます』なんて、意味深なセリフ残して忙しく通話を切るから、おかしいなあ~、とは思っていた。
一応光に連絡を入れてみたけど『電源が入っていません』というアナウンス。
その1時間後、また泉さんから連絡があった。
『はあ? 光が伊豆に行く理由? ちょっと泉さん、今、どこにいるの?』
そう尋ねる私に『そろそろ伊豆に着きます。光さんを追ってきました』という簡潔な返答。
意味が分からなかった……。
なんで光が伊豆に行ってて、それを泉さんが追いかけているのか。
泉さんは『直接捕まえるしかないか……』なんて、今度は物騒なセリフを残して通話を切った。
『ちょっと! 泉さん!?』
呼びかける私のことなんて、完全無視。
こんな電話もらったら、私だって気になるじゃない!
光のことで私が思い当たる人物なんて、音無さんくらいだ。
だから、すぐに連絡を入れた。けど音無さんの電話は繋がらない。
『もう! なんなのよ!?』
私はじりじりする思いでメッセージを吹き込んだ。
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