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『僕はね、本当はあの日、ロバートから一部始終を聞いていたんです。
真実はこうですよ。
あの時セイコは、自分の赤ん坊を殺そうとしていた。
枕を赤ん坊の顔に押し付けていたそうですよ?
そこにロバートが現れて、もみ合いになった末、あえなく転落して死に至った。
もちろん、この話はあくまでも、ロバートの言い分だ。
でも、十分信憑性がありました。
残された枕には、赤ん坊のだ液が、ほんの少しだけついていたらしいですからね。
調べれば、もっと出るかも知れませんね』
***
「そんな……」
私は口に手を当てて、声を漏らした。
あの日記の内容からしたら、そうなったっておかしくない。
むしろ『赤ん坊を溺愛している』という手紙の方に疑問を感じる。
けど! けどっ!
音無さんは顔を上げず、手元のメモを淡々と読み続けた。
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