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『君の狙いは何だ?』
文照氏がそう聞くと、真田は楽しそうに声を立てた。
『ふふふっ、ただのお仕置きですよ。
あの頃の私は、時々FBI捜査の手伝いのようなことをしていましてね。知り合いの刑事がセイコの日記を私に見せたんですよ。
『これが読めるか?』ってね。
私は中身を確認して『これは育児日記だ。遺品だな』と教えてあげたんです。
とても、幸せそうだ。全てのページが生まれてくる子供への愛情で溢れている。ってね……。
そして、セイコの父親が渡米すると聞いて、このシナリオを思いついた。
セイコの日記と共に、私へ宛てた偽物の手紙も遺品としてあなたが受け取るようにした。
そうすれば、あなたはきっと2つの遺品に矛盾を感じて、私に連絡してくる。
私は真相を明かす。
しかし、その時はすでに、後戻りできない状況になっている。
どうです? 実際、もう後戻りできない状況なんじゃないですか?
宝田さん、あの日記が世に出れば、少なくとも寄付金は返金することになるだろうし、君たち家族へのバッシングも避けられないだろう。
だから、あなたは一生、日記と共に、真実を隠し続ける。
娘がピンチだっていうのに、助けもしないで、自分達のピンチには娘の保険金を受け取った、都合がよすぎる親としてね。 ふふふっ』
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