☆彡 パンドラの真実

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 ロバートの気持を考えてみる。  彼はこの20年間、何を思い、生きてきたのか。  娘を見詰め続けた。少なくとも光が13歳の時までは……。  光の両親が亡くなって、同じ日に墓参りに行かなくなって7年が経っている。 「音無さん、光のお父さんが亡くなった後も、ロバートはお墓に来ていたのかしら?」  私がそう訊くと、音無さんは力無く首を振った。 「分からない。  ただ、その頃からロバートは地下に潜ったんじゃないか、と言われている」 「あえて、誰からの情報とは聞かないけど、音無さんからは情報提供してないわよね?」 「もちろんだよ。弁護士だからね、これでも……」  そう言ってから、やけくそな顔を私に向けた。 「中山さん、公安警察ってね、日本で暮らしている人間のありとあらゆる情報を調べられる、って言っても過言じゃないんだよ?  俺よりも彼らの方がたぶん、――多くの情報を持ってるよ」 「なにそれ? 公安警察って、なにもの?」 「国民情報の巣窟」 「おお、こわっ」  私はふざけて肩を窄めて見せた。  公安の情報収集って、つまり柏木さんじゃないの?  とてもじゃないけど、情報豊富とは思えない、冴えない眼鏡姿を思い浮かべて苦笑した。  でも、確かに柏木さんはロバートについても調べていた。  真田の周辺を嗅ぎまわっていたり、ファイルがどうこう言っていたのは、きっとこの事件が関係しているんだ。  ロバートが逮捕されたら、光はどう思うのだろう……。
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