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「光はどうなるのかしら? あんな光……初めて見た」
私の口からポトンと落ちた呟きに
「パンドラの箱には……」
音無さんがポツリと返事を返す。
「パンドラの箱には、希望が残ったんだ。
光には――、俺たちが残ったと思わない? 俺たちが光の希望になれないかな?」
くっさいセリフを堂々と言ってのける音無さんの瞳はとても真剣で、ほんの少しだけ見惚れてしまうくらい真摯な顔をしていたのに
「でも、光、泉さんに連れていかれちゃったよなぁ~。
あーあー。やっぱり泉さんが恋人なんだなぁ……」
なーんてため息をつくから、私はその背中をおもいっきり、叩いてやった。
「何言ってんの! 当たり前でしょう~! あの二人、裸の付き合いなんだから!」
「ちょ、中山さん、今それ言う? シスコン、光コンの俺に向かって、今それ言っちゃう??」
落ち込む音無さんの顔を見て、スカッとしたのもつかの間……。
「何だそれは? 聞いてないぞ?」
私達の背中から、ひくーい声が……。
師範――! 帰ってなかったのかぁーーー!?
「……」
うわぁ~!! 光、ごめん。
爆弾スイッチ押しちゃったかも~!!
私だけじゃなくて、音無さん共々青い顔で師範に言い訳する羽目になりました……。
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