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『あんたに安全な場所なんてないのよ?』
振り返るとセイコさんが立っていた。
なんて綺麗な人だろう。私をじっと見るその視線から目が離せない。
『あんたは、失敗作なの。呪われた子供なの』
払っても、払っても、何本もの手が私に襲い掛かる。
真っ赤な爪の細くて白い手が、私の首にかかる。
息ができない。セイコさんやめて! お父さん、助けて!
セイコさんの後ろには、お父さんがいた。
お父さんは、泣きそうな顔で笑っていた。
『ごめんな、セイコ。
お父さんと一緒に行こうな。お父さんが一緒に死んでやるから。
セイコ、許してくれ……』
お父さんはそう言って、私の手を握る。
『違う、私はセイコじゃない! 光よ! お父さん、私は光!』
苦しくて、声が出ない。けど、心の中で叫び続けた。
『違う! あんたは光なんかじゃないわ。光は完璧な子供なの。
あんたは生まれてきちゃいけないのよ!』
首をギリギリと締め付けながら、セイコさんは目を光らせた。
そうか……私、生まれてきちゃいけなかったんだ。
死んでリセットして、今度こそ本物の光になるんだ……
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