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「で、もちろん、彼女に会うんだよな?」
「明子さんですか? そうですが……」
俺の少し怪訝になった顔を見て、更に嬉しそうに言う。
「じゃあさ、俺もお前と一緒に青国行くから。
お前の彼女にちょっと用があってな。
きっと、向こうも俺に会いたいだろうし……」
「なっ、なんで、彼女が谷木さんに会いたがってるって、知ってるんですか!?」
俺が声を荒げてそう言うと、谷木さんは眉毛をあげて俺を見た。
それから、嬉しそうな顔をして「やっぱ、俺がイケメンだからか?」なんて、モデルみたいな立ちポーズを決めて見せた。
「洒落になりません、って!」
谷木さんと明子さんが知り合いでも不思議はないけど、今までそんな素振りなかったよな……。いやでも、もしかして、俺の知らないところで連絡を取り合ってたりして……。
「ばぁーか!」
「いでっ!!」
俺が良からぬ想像していると、谷木さんの声と共におでこに激痛が走った。
おでこを抑えて涙目になっているっていうのに『デコピン』の指のまま、ニヤニヤしている。
「とりあえず、会えば分かるよ。この際、向こうの情報とこっちの情報を共有した方がいいだろう、という話だよ」
そう言って前を歩く。
「ほら、レディを待たせると、嫌われるぞぉ~」
俺は、痛むおでこを摩る手を止めて
「ちょっと、谷木さん、どういう意味ですか? 説明してください!」
急いで谷木さんの後を追って、道へ出た。
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