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★★
昼休みが始まる前のカフェテリアは、おかずの匂いや食器を準備する音が響いて、嫌でも腹が鳴る。
さっきも派手に腹が鳴ったのを明子さんに聞かれ「ランチタイムまでもう少しだから、我慢してね」と、子ども扱いされたところだ。
隣の谷木さんは、そんな俺たちのやり取りを聞きながら、ニヤニヤ意味深な笑いを浮かべていている。
ーーー★★★ーーー
大学に到着した谷木さんと俺は、人がまばらなカフェテリアでコンビニで買ったコーヒーを飲みながら、明子さんが来るのを待った。
カフェに現れた明子さんは表情も硬く、沈んだ様子で俺たちに手を上げた。
『こんにちは。今日、泉さん何してます?』
挨拶もそこそこ、いきなり泉の事を訊かれて、俺は戸惑った。
けれど、谷木さんは特に驚く様子もなく「泉は、今週は特別任務かな……」と、含みを持たせた言い方をする。
『そう……』
明子さんはため息と共に返事を返して、硬い表情のまま、谷木さんを見つめた。
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