★ 明子さんVS谷木さん

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 ランチタイムに突入すると、どこからともなく学生たちががやがやと集まって来た。  今までどこにいたんだ? と疑問になるくらい、四方八方からやって来る。  俺は学生の列に混じって、この間と同じカツカレーを注文した。  狭山がカツカレーをトレイに乗せて運んできたとき、明子さんが反応していたから、つい注文してしまっている。  まっ、美味しいからいいんだけど。  目の前の明子さんはいつもの定食だ。どうやらから揚げが好きそうだ。  これ、俺の観察の結果。  谷木さんは、明子さんにメモを渡しただけで、用は済んだとばかりに出て行ってしまった。  それだけの用事の訳ない筈なのに……。一体どういうことだ?  ただ谷木さんは去り際に宝田さんについて2、3質問していたけど、明子さんからすげなく返されていた。  そしてため息交じりに『じゃあ、何かあったら柏木にだけは、教えてやってくれよ。  こいつは本気で心配するやつだから』なんて意味深なことを言う。  明子さんは俺をじっと眺めてから、谷木さんに向かって頷いていた。 「宝田さん、どうかしたのか?」  二人きりになってから俺がそう訊くと、彼女は少しだけ目を伏せて「うん……」と言葉を濁らせた後 「とりあえず、時間だから行こうか……」  そう言って立ち上がり、食器を片付けはじめた。
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