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ランチタイムに突入すると、どこからともなく学生たちががやがやと集まって来た。
今までどこにいたんだ? と疑問になるくらい、四方八方からやって来る。
俺は学生の列に混じって、この間と同じカツカレーを注文した。
狭山がカツカレーをトレイに乗せて運んできたとき、明子さんが反応していたから、つい注文してしまっている。
まっ、美味しいからいいんだけど。
目の前の明子さんはいつもの定食だ。どうやらから揚げが好きそうだ。
これ、俺の観察の結果。
谷木さんは、明子さんにメモを渡しただけで、用は済んだとばかりに出て行ってしまった。
それだけの用事の訳ない筈なのに……。一体どういうことだ?
ただ谷木さんは去り際に宝田さんについて2、3質問していたけど、明子さんからすげなく返されていた。
そしてため息交じりに『じゃあ、何かあったら柏木にだけは、教えてやってくれよ。
こいつは本気で心配するやつだから』なんて意味深なことを言う。
明子さんは俺をじっと眺めてから、谷木さんに向かって頷いていた。
「宝田さん、どうかしたのか?」
二人きりになってから俺がそう訊くと、彼女は少しだけ目を伏せて「うん……」と言葉を濁らせた後
「とりあえず、時間だから行こうか……」
そう言って立ち上がり、食器を片付けはじめた。
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