40人が本棚に入れています
本棚に追加
★★★
犯罪心理ゼミの部屋は、北側校舎の3階にある。
一年中あまり日の当たらないこの校舎は今日のような、初夏を思わせる日差しがサンサンと輝いていようとも、全くお構いなく冷え冷えとした空気を漂わせていた。
「あのさ……。真田教授の情報だけど……、俺なりに調べたことがあるんだ」
階段をゆっくり上がりながら、俺はポトリポトリと足元に言葉を落とした。
「へぇ。どんなことが分かったの?」
明子さんはあまり関心がなさそうな口ぶりで、俺の話を促した。
「うん……。俺が調べてる『ロバート松岡』は、ハーバード大学在学中に真田と知り合った。二人とも同じ大学だったんだ。
友達かどうかはわからないけど、少なからず接点があったんだ」
「うん……。それで?」
「それで、殺害されたとされるストリッパーなんだけど。
彼女はハーバード大学の日本人会に慰安として招かれて、ストリップショーをしたらしいんだ」
「へぇ。そうだったの……」
明子さんは足を止めて、俺を見た。
それから、また前を向いて足を踏み出した。
最初のコメントを投稿しよう!