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「失礼します」
前回よりもはっきりした口調で、堂々と部屋に入っていく明子さんの前方に、前回と同じ様に、奥のデスクで手を組んでいる真田の姿が見えた。
明子さんは、やや緊張した面持ちながらもサラリと真田に声をかけた。
「教授、FBI資料の件、進展がありましたので、ご報告したく再度アポイント取らせていただきました。
お時間くださり、感謝いたします」
「やあ、中山さんだったね。君の事、吉田教授から聞かせてもらったよ。
心的外傷の治療方法について、なかなかいいレポートを書くとね。優秀なんだね」
口調も柔らかく、口元には微笑みが浮かんでいるけど、目は相変わらず鋭いままだ。
「まあ、私の事を? 気にかけてくださり、光栄です」
一方の明子さんも、口元は微笑み、そして目は――。
うわっ、あれ、鬼の微笑みの目だ。
この目を見て直感した。
例のストリップ・ダンサーと宝田さんの関係はビンゴなんだろうな……。
そして、何らかの関係で真田が絡んでいる……と。
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