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食器をカチャカチャ言わせて、食堂の中の人に「ごちそうさまぁでした~」と声を掛けて、明子さんはキビキビと片付けた。
「ちょ、ちょっと待って! もう少し話をさせてくれよ!」
彼女の背中に張り付いて、声をかけつつ彼女の隣に並んだ。
カフェテリアから外に出ると、初夏を思わせる太陽が、俺たちを照らしていた。
明子さんはやっとくるりと振り返って、俺を見た。
逆光と後ろからの風が彼女の顔を曇らせ、髪を揺らし、心なしか寂しそうに見える。
そんな彼女が、なに? と首をかしげて、俺の反応を伺っていた。
「とにかく座ろうよ」
俺は日差しがまぶしくて、渋い顔をしながらベンチを指さした。
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