★ 大学のベンチ

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 思えば、明子さんと大学のベンチに座るのは、久しぶりだ。  今年の正月明けに、谷木さんに怒られてへこんでやさぐれて、ここに座っていて……。明子さんから声を掛けられた。  その時この人と話をして、この人の迫力にタジタジになって、そしてなぜが救われてしまった。  あんな気持ちになったのは、初めてだった。 「どんな話があるの?」  明子さんは座っている俺を立ったまま見下ろしていた。  その顔は、少しイラついていて、焦りが見える。  まさかと思うけど、暴走するつもりじゃないよな?  俺は慎重に表情を観察しながら話し始めた。
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