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「どうして、キスしたあなたの方が恥ずかしそうなのよ?」
少しだけ元気が戻って来たのか、悪戯な顔を俺に向けてきた。
「え?いや……その、なんというか。あんまり君が可愛かったから……」
恥ずかしくてポツリとつぶやいて、そっと彼女を盗み見ると、明子さんもボワッと赤面していた。
「柏木さんのくせに!!」
のもつかの間……、大声をあげて立ち上がった。
「もう講義あるから行くね! 今日はありがとう!」
そう早口でまくしたて、くるりと背を向けた。
この時、俺は反射的に、声を上げた。
「明子さん、好きだよ!」
明子さんは、ビックッ!! って感じで肩をあげて、振り返り
「柏木さん、私はあのバカップルみたいには、ならないからね!!」
キッ! と睨んでそう言ったかと思ったら、すごい早足で去って行った。
明子さんが照れて逃げ出した!?
俺、もしかして勝者!?
俺はにやけた顔のまま、初めて彼女を翻弄してしまった余韻に浸っていた。
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