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佐藤さんがバスルームに消え、谷木さんが帰ってしまうと、わずが50平米程のがらんどうの部屋が広く感じる。
とりあえず持参してきたコンビニの袋を、窓際に設置されているカメラの足元に置いた。
三脚で固定されているカメラは、真田の家の玄関にピントが合わされていて、カメラの隣には、小型のテーブル。その上にカメラモニターが乗っている。
今現在、真田の家の玄関が静かに映されているが、その様子はピクリとも変わらない。
テーブルの横には、アンプみたいな機材がいくつか置いてあって、ヘッドフォンが乗せられていた。
スペトラムアナライザが何の反応も示していないところをみると、家の中は無人なんだろうなぁ。
俺はテーブルの前に置いてある椅子に腰を下ろした。
そして、なんの変化のないモニターをぼんやり眺めた。
「あ、悪い、頼んでた弁当買ってきてくれた?」
声を掛けられた方を向くと、佐藤さんがTシャツとグレーのスラックス姿で、頭をタオルで拭きながら近づいてきた。
「あぁ、はい。頼まれてた通り、そこの定食屋の弁当買ってきましたよ」
そう言って、定食屋で包んでもらった弁当箱を差し出した。
「おっ、サンキュー。
もうさぁ、見張りが長いと、食べ物だけが楽しみになるからな~」
彼は軽く頭を下げて、弁当を受けとった。
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