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「しっかし、そろそろ1週間だっていうのに……全然動かんなぁ……」
ここでの張り込みを開始して、丸5日。
真田は毎日20時頃に帰宅し、朝7時には家を出る。
この一軒家に一人暮らしだそうだ。
もともとは両親と住んでいた家だったけど、5年前に父親を亡くし、母親は兄と一緒に住んでいるのだとか。
さすがに年期は入ってはいるけど、俺の実家よりもよっぽど大きくて立派な家に一人住まいというのは。管理とか……、例えば掃除するのだって大変だろうなぁ、なんて関係の無いことを考えた。
「柏木ってさぁ、いつから谷木さんの下にいるんだ?」
佐藤さんはそう言って床に腰を下ろし、弁当の蓋を開けて「おぉ~サバだ」と声を上げた。
「えっと……、じつは4月に配属になったばかりでして……」
俺はモニターを視界に入れつつ、佐藤さんの方に体を向けた。
「へぇ~。じゃあ、俺よりも少し後か……俺はちょうど半年くらい前からだから」
弁当を持ち上げて、白米を口の中にかき込みながら、合間合間に世間話を進めた。
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