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ユングからのメッセージは、最初は酷く曖昧な物だった。
ユング: どうやら、狼が動き出したようだ。
ユング: どうする? 時間がないぞ?
ユング: 目途はついている、あとは君次第だ。フロイト。
ユング: 私は君に協力する。
ユング: フロイト、なぜ連絡をしない? 君はこのメッセージを見ているのだろう?
ユング: フロイト、時間がない。
そして今日の分がこれだ。
ユング: フロイト、君の望みをかなえてやる。返事をしろ。
「この『狼』っていうのは、警察のことですかね?
『目途はついている』っていうのは……、公安のことか……?」
首をひねって呟くと、佐藤さんも硬い表情で呟く。
「あぁ。『目途』はともかく、『狼』は警察のことだと思う。
しかし、わからないのは、真田がロバートを急かしていることだ」
俺は困惑した頭で大きく頷いた。
『時間がない』とは……、どういうことだ?
警察はまだ具体的には動いていない筈だ。
俺がぐるぐる考えていると「おっ?」と佐藤さんが声を上げた。
咄嗟に顔を上げて画面を見ると、お待ちかねの【フロイト】の名前が表示された。
フロイト: わかった。できるだけ早く用意してくれ。
俺の心拍数は一気に駆け上がった。
用意してくれ? 何を用意するんだ?
――金? じゃないよな……。
ポン! と電子音が聞こえて、新しいメッセージが浮かび上がった。
ユング: すぐに用意する。連絡を待て。
すぐに用意する? 何をだ?
なんだ? 何かひっかるのに……
「くそっ! なんなんだ・・!?」
俺は拳を握った。
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