★ ユングとフロイト

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 ユングからのメッセージは、最初は酷く曖昧な物だった。  ユング: どうやら、狼が動き出したようだ。  ユング: どうする? 時間がないぞ?  ユング: 目途はついている、あとは君次第だ。フロイト。  ユング: 私は君に協力する。  ユング: フロイト、なぜ連絡をしない? 君はこのメッセージを見ているのだろう?  ユング: フロイト、時間がない。  そして今日の分がこれだ。  ユング: フロイト、君の望みをかなえてやる。返事をしろ。  「この『狼』っていうのは、警察のことですかね?  『目途はついている』っていうのは……、公安のことか……?」  首をひねって呟くと、佐藤さんも硬い表情で呟く。 「あぁ。『目途』はともかく、『狼』は警察のことだと思う。  しかし、わからないのは、真田がロバートを急かしていることだ」  俺は困惑した頭で大きく頷いた。 『時間がない』とは……、どういうことだ?  警察はまだ具体的には動いていない筈だ。  俺がぐるぐる考えていると「おっ?」と佐藤さんが声を上げた。  咄嗟に顔を上げて画面を見ると、お待ちかねの【フロイト】の名前が表示された。  フロイト: わかった。できるだけ早く用意してくれ。  俺の心拍数は一気に駆け上がった。  用意してくれ? 何を用意するんだ?   ――金? じゃないよな……。  ポン! と電子音が聞こえて、新しいメッセージが浮かび上がった。  ユング: すぐに用意する。連絡を待て。  すぐに用意する? 何をだ?   なんだ? 何かひっかるのに……   「くそっ! なんなんだ・・!?」  俺は拳を握った。
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