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「いただきます」
俺と谷木さんは向かい合って床に座り、弁当を食べ始めた。
朝の弁当だからか、シャケのり弁だ。甘辛の肉団子とカブの漬物も添えてある。
さすが佐藤さんが美味そうに食べるだけある。
ここの弁当、美味い……。他には何弁があるのか、明日チェックしてみようかな……。
俺がちょっと感動しつつ箸を動かしていると
「昨日、チャットルームに動きがあっただろ?
お前もしかして、それ泉に報告したか?」
「ぶはっ、ごほっ」
谷木さんが世間話みたいに、ポンと口にした。
俺は若干むせりながらも、お茶を飲みつつ返事を返す。
これは谷木さんの罠だ。
狼狽えたらバレる。
「え? 泉にですか? なんでまた?」
そう言って、俺にとっては、最大限の演技力ですっとぼけた。
本当は、あの後泉に連絡したけどな。だって、どうにも嫌な予感がするだろ。
それに泉なら、漏らしたところで同じ事件を追っている同志だよな?
「へえ~、そうかぁ。じゃあ、いいこと教えてやろうか?」
谷木さんの鋭い目が俺を捕えた。
目を逸らすことを許さない、的を狙うような目だ。
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