★ 谷木さん現る

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「いただきます」  俺と谷木さんは向かい合って床に座り、弁当を食べ始めた。  朝の弁当だからか、シャケのり弁だ。甘辛の肉団子とカブの漬物も添えてある。  さすが佐藤さんが美味そうに食べるだけある。  ここの弁当、美味い……。他には何弁があるのか、明日チェックしてみようかな……。  俺がちょっと感動しつつ箸を動かしていると 「昨日、チャットルームに動きがあっただろ?   お前もしかして、それ泉に報告したか?」 「ぶはっ、ごほっ」  谷木さんが世間話みたいに、ポンと口にした。  俺は若干むせりながらも、お茶を飲みつつ返事を返す。  これは谷木さんの罠だ。   狼狽えたらバレる。 「え? 泉にですか? なんでまた?」  そう言って、俺にとっては、最大限の演技力ですっとぼけた。  本当は、あの後泉に連絡したけどな。だって、どうにも嫌な予感がするだろ。  それに泉なら、漏らしたところで同じ事件を追っている同志だよな? 「へえ~、そうかぁ。じゃあ、いいこと教えてやろうか?」  谷木さんの鋭い目が俺を捕えた。  目を逸らすことを許さない、的を狙うような目だ。
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