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その目が少しだけ意地悪そうに丸みを帯びた瞬間、真っ直ぐ飛んできた矢のごとく、衝撃の台詞が突き刺さった。
「昨日のユング、真田じゃなくて、俺だぞ?」
「うぐっ!? 【ユング】って。 えっ? えっ? 谷木さん!?」
「いや~、まあ、昨日だけな。
それに、入力したのは真田で、俺はあくまでも『台詞提供者』な」
「じゃあ……『望みをかなえてやる』っていうのは……」
「そう。俺が、ロバートの望みを叶えてやるってことだよ。
その代わり、ロバートには捕まってもらうけどなぁ~。名案だろう?」
なんでそんなに楽しそうなんだ?
まるでゲームの狩りにでも行くみたいな口調で……。
「谷木さん、『用意する』って。まさか……」
俺の声は少し掠れ始めた。弁当を持つ手も少しだけ震える。
嫌な予感しかしないからだ。
まさか、と思っていたけど……。
昨日から引っかかってる。でも認めないようにしていた。
「お前の想像通り、宝田光だよ」
谷木さんは怖いくらい真面目な顔になって俺を睨みつけた。そして
「宝田光を用意するんだよ。思った通りロバートは食いついただろ?
けどな、間違いなく泉から邪魔が入る。
だから柏木、お前の仕事は、泉を抑えておくことだ」
そんな命令を俺に下した。
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