★ 谷木さん現る

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 その目が少しだけ意地悪そうに丸みを帯びた瞬間、真っ直ぐ飛んできた矢のごとく、衝撃の台詞が突き刺さった。 「昨日のユング、真田じゃなくて、俺だぞ?」 「うぐっ!? 【ユング】って。 えっ? えっ? 谷木さん!?」 「いや~、まあ、昨日だけな。  それに、入力したのは真田で、俺はあくまでも『台詞提供者』な」 「じゃあ……『望みをかなえてやる』っていうのは……」 「そう。俺が、ロバートの望みを叶えてやるってことだよ。  その代わり、ロバートには捕まってもらうけどなぁ~。名案だろう?」  なんでそんなに楽しそうなんだ?   まるでゲームの狩りにでも行くみたいな口調で……。 「谷木さん、『用意する』って。まさか……」  俺の声は少し掠れ始めた。弁当を持つ手も少しだけ震える。  嫌な予感しかしないからだ。  まさか、と思っていたけど……。  昨日から引っかかってる。でも認めないようにしていた。 「お前の想像通り、宝田光だよ」  谷木さんは怖いくらい真面目な顔になって俺を睨みつけた。そして 「宝田光を用意するんだよ。思った通りロバートは食いついただろ?  けどな、間違いなく泉から邪魔が入る。  だから柏木、お前の仕事は、泉を抑えておくことだ」  そんな命令を俺に下した。
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