★ 谷木さん現る

8/9
前へ
/408ページ
次へ
「谷木さん、約束してください。宝田さんと話をするとき、俺にも立ち会わせてください」 「お前が彼女の側にいたら、その間、泉をどうするんだよ~?」 「…………、じゃあ、俺が泉と宝田さん、両方と話をします」 「はあ~?」 「お願いです。俺が二人を説得します。   泉がそう簡単に宝田さんから離れるわけがありません!」 「だから……、そこはさぁ」 「お、俺は、泉を騙すような真似はしたくありません。  泉は俺の大事な仲間です! 裏切るのだけは、絶対に嫌です。  宝田さんが協力するって言ってくれたら、泉だって、強くは出られないはずです。  俺が、必ず宝田さんに協力してもらいますから!」   呆れる谷木さんの顔を見据えた。これは、俺の使命だ。  だから、谷木さんが『うん』と言うまで粘るつもりだった。  俺は泉を裏切りたくない。同時に谷木さんにも裏切らせたくない。  警備部の谷木さんは仮の姿だったけど、『俺たちの谷木さん』まで仮の姿だったなんて思いたくなかった。
/408ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加