☆彡 相原先生って…

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「こらっ! 泥棒ネコ!   光から掻っ攫った時の、あの勢いはどうしました?   好きで好きで、どうしたって諦められないんでしょ?   手に入れたのに、何が不満ですか?」  子供みたいに唇を噛んで、必死に我慢しているみたい。 「人のものを奪った人ってね、自分も誰かに奪われるんじゃないか、って不安になるらしいですね。それですか?」  追い打ちをかけるようにそう言うと、泣きそうな顔を向けて来た。 「相変わらず、中山さんは厳しいな……。そうだよ。不安だよ。  響はいつも優しいけど、心のどこかで俺は響の一番じゃない、って感じるんだ。  俺を一番に置いてほしいって思うけど、言ったら『一番だよ』って言ってくれるけど……。でも、本当は違うんだ」 「それは、アレですか? 『お前のためなら死ねる』って言って欲しいとか?  もはや『私と仕事どっちが大事なの?』ってやつですか?」  相原先生は目に涙を溜めて、唇を震わせていた。  恋人だからって、いつも天秤が平行とは限らない。  それに、全ての恋人たちが好きだ嫌いだに、命張っているわけでもない。  ロマンチストなのはいいけど、現実はそれほどシンプルなものじゃないでしょう?  恋人がいて、仕事があって、家族がいて。人は色々なものを背負って生きている。  恋人は生活の中のただのワンピースでしかない。  生活すべてが恋人だったら、もはや重くて仕方ない。  あ……。でもそれに限りなく近いバカップルが一番身近にいたわ……。
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