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パーティションの向こうに躍り出ると、足元に泉が転がっている。
眠っている泉の姿は、まるで手負いの獣だ。
宝田さんを守ろうと必死になって、穴倉に逃げ込んで、その入り口で目光らせて――
何人も近寄らせないように頑張ってた、ってわけか……
つくづく、漢だな……、こいつ。
けど、お前がそうやって頑張れば頑張るほど、宝田さんはそんなお前を想い、無理をするんだぞ。
泉も宝田さんも本当にお互いのことが大事なんだな。
自分よりもずっと……
俺は宝田さんの元に戻り、ベッドの下に正座した。
「宝田さん、君に危害が及ばないように、全力で守ります!
だから、捜査に協力してください。お願いします」
宝田さんは、俺の目を真っ直ぐに見つめて力強く頷いた。
「私は、何をすればいいですか?」
そう返事をくれたけど、すぐに気まずそうな顔になった。
「でも、あの……、泉さんにちゃんと話します。泉さんを騙すのは嫌なので……」
「俺も泉を騙すつもりはないよ。バレたら、あいつ暴れるだろうし」
俺がおどけてそう言うと、宝田さんはやっと柔らかく微笑んだ。
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