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★★
俺は今、なぜか泉兄と向かい合っている。
何故だ!? 明子さんじゃなかったのか!?
そして、ちゃぶ台の上には、親子丼が3つ乗っていた。
ついでにお新香とみそ汁もいい塩梅で用意されていた。
「ふむ……。春香が寝ているのなら、仕方がない。冷めてしまうのも勿体ないし、3人でいただくとしようか」
泉兄は一緒に添えられていた、箸に手を伸ばした。
俺は、チラリと宝田さんに目をやった。宝田さんは緊張しつつも慣れているのか
「あ……。では……いただきます」
「うむ、いただこう」
2人は親子丼に箸をつけた。
「さあ、君も食べなさい」
「はあ、じゃあ、お言葉に甘えて……。いただきます」
頷く泉兄に軽く会釈して、俺も丼に箸をつけた。
ふわふわの半熟卵と鶏肉と玉ねぎのバランスがちょうどいい。
こんなにシンプルな食べ物なのに、本当に美味い。
俺はしばらく丼の味を堪能した。
味噌汁にも手を伸ばす。俺が好きな豆腐とネギの具だ。
これまた良いダシを使っているのか……、めちゃめちゃ美味い。
あぁ~、久しぶりに美味い飯を食べた!
心も体も満足して、宝田さんに入れてもらったお茶をすすった。
「ごちそうさまでした」
両手を合わせて、お礼を言って、はっ! となった。
俺――。
飯食いに来たわけじゃねぇぞぉぉぉーー!
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