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「こんにちは。あら、美味しそうなものを食べてたのね?
丁度良かった~、デザート買ってきたよ!」
明子さんは嬉しそうに何やら甘い匂いがする箱を掲げた。
宝田さんが立ち上がって、コーヒーの準備をしている間、俺は目の前の二人を盗み見た。
なぜ、泉兄は帰らない? 大体、なぜここに来たんだ?
まあ、泉兄ともあろう人が昼飯を持ってくるだけの、パシリの訳が無いが……。
俺が一人であれやこれや考え込んでいる間に、コーヒーを入れた宝田さんが戻ってきて、俺たちに振る舞った。
泉兄はのんびりした空気で、明子さん持参のチーズケーキを切り分けている。
おいおい、泉がいるだろうに、4等分でいいのか……?
・・・・・・・。
違うって!! そんなことじゃなくて!!
もう我慢できない!
俺は口火を切った。
「あのっ、教えてもらえませんか? ふたりは、何のためにここにいるんですか?」
ストレートに聞く俺をやや呆れ顔で眺めた泉兄は、片方の眉を寄せた。
「君は、――何も聞いていないのか?」
またこれかっ!?
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