★ 説得

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「お、俺の任務は、宝田さんと話をすることです。  明子さんは一応『協力者』という関係なので、わかりますが。  えっと……、お兄さんは一体……?」  俺は苛立ちを抑え、泉兄に向き合った。が、とたんに弱腰になる。  なんだろうなぁ。検事だからか? 独特のオーラを発しているんだよなぁ。 「うぬ……。私は春香のストッパーだ。  春香が暴走しないように、見張り役を(おお)せつかってな。  まあ、この際兄弟の絆を深めておこう、と思うわけだが」  そして、ものすごく大真面目に、さも当たり前のように言ってるけど、それと同じくらい胡散臭く聞こえるのは、過去にこの人にまんまと騙された経験があるからだろうか……?  さすがは、谷木さんが『あの人には逆らうな』と、至極真面目に進言するだけある。 「はあ。では、お兄さんは泉が目を覚ましたら、お願いするとして……。  えっと……、宝田さん、先ほどの話なんですけど」 「はい。私は何をすればいいでしょうか?」  俺を見上げる宝田さんは、さっきまでの『儚さ』なんて跡形もなく消し去られ、まるで別人のように凛とした姿でそこに存在していた。
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