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私が苦笑して、そのバカップルの顔を思い浮かべていると、まるでその映像が見えたみたいに、相原先生が吐き捨てるように言った。
「だいたい、宝田さんは狡いよっ」
「はい? 何が?」
「だって……、響は最近仕事ばっかりで……、しかも宝田さんの顧問弁護士なんかになって……。
結局、響にとって宝田さんが一番大事な人なんだ……」
いじけてるなぁ。まっ、気持ちもわかるけど。
音無さん、光にはやけに過保護だからなぁ。
特に顧問弁護士になって『宝田家の書類』とやらに関わってからは、私でも呆れるくらい光の心配をしている。
それくらい、その書類の影響が大きいという事なんだろうけど……。
零れそうになる涙をこっそり拭っている相原先生が、さすがに健気に感じて、仕方なく声を掛けた。
「音無さんにとって光は、妹以上の存在ではありませんよ。
先生は恋人なんだから、もっと自信持って。我儘言ってもいいんですよ?
初心にかえって、酒飲ませて襲ってみたらどうですか?」
「初心にかえって酒飲ませて? そっか……。
――そうだよね。うん!
中山さん、ありがとう! 俺、今夜にでも襲ってみる!
よーし、そうと決まったら、仕事終わらせるぞぉ~!」
俄然張り切り出す相原先生。
えっ? 本気にしちゃった?
なんか、また変なスイッチ押しちゃった、よね? 私……。
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