40人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺抜きで話を進めるのはやめてください。2人がここにいるのは、泉を説得するためじゃないんですか?」
「そうよ。泉さんを説得するために来たの。だから、こうして話し合っているんでしょ?」
明子さんのあっさりとした言葉に、泉兄も普通に頷いている。
「じゃあ、言わせてもらいます。
俺は、谷木さんの代わりにここに来たんです。
宝田さんに協力してもらって、ロバートを拘束します。
これは、俺たちの仕事です。
一般人が余計な口出しするのは、止めてもらえませんか!?」
俺はきっぱり言い放った。
今日俺がここに来たのは、公安の人間としての、柏木陽一だ。
一般の人間とは、何もかもが違うんだ!
ちゃぶ台に手をついて身を乗り出した俺に、明子さんはちゃぶ台に両手で頬づえをついて、瞼を半分落とした。
「ふう~ん。なるほどね。柏木さんもいっぱしの公安警察ってわけか……」
意味深な目つきを、隣に座っている宝田さんに流しながら口元だけで微笑んだ。
「ひかるぅ、どうする? 私たちはここで降りるけど? 光は柏木さんに協力できる?」
母親が子供に言い聞かせるみたに、ひどく優しい声色だった。
最初のコメントを投稿しよう!