★ 説得

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「俺抜きで話を進めるのはやめてください。2人がここにいるのは、泉を説得するためじゃないんですか?」 「そうよ。泉さんを説得するために来たの。だから、こうして話し合っているんでしょ?」  明子さんのあっさりとした言葉に、泉兄も普通に頷いている。 「じゃあ、言わせてもらいます。  俺は、谷木さんの代わりにここに来たんです。  宝田さんに協力してもらって、ロバートを拘束します。  これは、俺たちの仕事です。  一般人が余計な口出しするのは、止めてもらえませんか!?」  俺はきっぱり言い放った。  今日俺がここに来たのは、公安の人間としての、柏木陽一だ。  一般の人間とは、何もかもが違うんだ!  ちゃぶ台に手をついて身を乗り出した俺に、明子さんはちゃぶ台に両手で頬づえをついて、瞼を半分落とした。 「ふう~ん。なるほどね。柏木さんもいっぱしの公安警察ってわけか……」  意味深な目つきを、隣に座っている宝田さんに流しながら口元だけで微笑んだ。 「ひかるぅ、どうする? 私たちはここで降りるけど? 光は柏木さんに協力できる?」  母親が子供に言い聞かせるみたに、ひどく優しい声色だった。
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