★ 説得

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「わ、わたしは……」  宝田さんが言いよどむのとほぼ同時に、泉兄が口を開いた。 「今の彼の計画では、交渉失敗の可能性が高い。  春香は暴走、ロバートは逃走、宝田さんは監禁……」 「な、なんですか? それ……、脅しのつもりですか?」  俺は怒りをむき出しにして、泉兄を睨みつけた。 「じゃあ、あなたの考えを聞かせてよ、柏木さん。  谷木さんの言葉の受け売りじゃなくて、あなた自身どうやって光を守りながら、ロバートを拘束するつもりなのか、考えてる?   あなたの任務は『光を説得すること』って言ってたわね?   光は『協力する』って言ったわよ。  でも、それで終わりじゃ、あなた本当にただの下僕よ?  その先を考えなきゃ。そうでしょ? あなたは市民を守る警察官なんだから」 「くっ、つ」  俺は言葉に詰まった。  わかっていることだ。   宝田さんが協力してくれるのは、全て泉のためだ。  別に俺じゃなくても、この人は協力する。  俺はここにきて泉にドリンク飲ませて、宝田さんからの返事もらって……。  子供(ガキ)の使いだ。――今の俺は、ただの子供(ガキ)だ。
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