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「わ、わたしは……」
宝田さんが言いよどむのとほぼ同時に、泉兄が口を開いた。
「今の彼の計画では、交渉失敗の可能性が高い。
春香は暴走、ロバートは逃走、宝田さんは監禁……」
「な、なんですか? それ……、脅しのつもりですか?」
俺は怒りをむき出しにして、泉兄を睨みつけた。
「じゃあ、あなたの考えを聞かせてよ、柏木さん。
谷木さんの言葉の受け売りじゃなくて、あなた自身どうやって光を守りながら、ロバートを拘束するつもりなのか、考えてる?
あなたの任務は『光を説得すること』って言ってたわね?
光は『協力する』って言ったわよ。
でも、それで終わりじゃ、あなた本当にただの下僕よ?
その先を考えなきゃ。そうでしょ? あなたは市民を守る警察官なんだから」
「くっ、つ」
俺は言葉に詰まった。
わかっていることだ。
宝田さんが協力してくれるのは、全て泉のためだ。
別に俺じゃなくても、この人は協力する。
俺はここにきて泉にドリンク飲ませて、宝田さんからの返事もらって……。
子供の使いだ。――今の俺は、ただの子供だ。
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