★ 説得

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「ほんとに、油断も隙もあったもんじゃないわね!」  明子さんが腕を組んだまま、関節が痛くて寝っころがっている俺を見下した。 「いや、そんな……。下心なんて……」 「へぇ~」  絶対零度の冷たい視線が俺に突き刺さる。  うぅ……。もういっそ、俺もあのドリンク飲んじゃおうかな……。 「まあ、それより、春香も起きてきたことだし、宝田さんの話を」 「私は反対です」  話の軌道を修正してくれようと口を開いた泉兄を遮って、泉はきっぱり言い放った。 「兄さん、光さんに何をさせるつもりだ?   誰に、何を、頼まれたのかは知らないが、私は絶対に光さんを利用させるつもりはありません」  泉は、宝田さんの前に立ちはだかった。
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