★ 説得

22/26
前へ
/408ページ
次へ
 静まり返った重い空気を打ち破る泉の声は、聞いたことがないような弱々しいものだった。 「私は……光さんを……、閉じ込めているのか?」  噛みしめた唇から、苦々しい言葉が掠れ声と共に漏れた。 「泉さん、違う。そ、そんなこと」  傍らで宝田さんが必死に首を振っている。  その様子を、どうフォローしたらいいのか考えあぐねていた俺の隣で 「もう我慢できない!」  明子さんが勢いよく立ち上がった。
/408ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加