☆彡 相原先生って…

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☆彡☆彡☆彡 「ただいまー」  相原先生の頑張りが功を奏し、予定よりも随分早く家に帰れた。 「あー、おかえり。明子、夕飯食べるわよねー? 今日ねぇ~、ママねぇ……」  母の近況を話半分で聞きながら、ふんふんと相槌を打ち、洗面台で手を洗い、うがいをする。  去年、ロンドンで失っていた記憶を取り戻し、母親と和解したとたん、友達のように接してくるようになった。  なるほど、これがいわゆる『友達親子』という関係なのね。  けどこれって、私の精神年齢が上がったのかしら? それとも母親のそれが下がったの?  目の前にある屈託ない顔をじっと見つめると「何? 何かあった?」と小首をかしげ、覗き込んでくる。  一応、大学では色々な心理の授業を受けてはいるけれど、子供にとっての母親の存在って、やっぱり未知だ。  一人の大人として、付き合う相手でもあるけど、ふとした瞬間子供に逆戻りしている自分を認識したり……。 「ううん、何でもない。今日の夕飯何? もうさぁ~、編集部でさぁ~」  ただ一つ言えるのは、私にとって『団欒』という、こんなにも穏やかで安心できる場所を提供してくれるのは、今のところこの母親だけなのだ……。    
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