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★★★
日が暮れる頃、俺たちは解散した。
この頃には、泉も宝田さんも俺の知っている顔になっていた。
明子さんや泉兄も穏やかな顔で、ふたりに向き合った。
『泉さん、私たちがいなくなったからって、調子に乗ってるんじゃないわよ?』
明子さんから牽制されて
『も、もちろんです! 光さんが嫌がるようなことは絶対にしません!!』
なーんて言って背筋のばしてたな……
ほんの数時間前に俺があの家を訪れた時とは、180度雰囲気が変わった。
やっぱ、持つべきものは仲間だ、って実感したんだろう。
随分とちぐはぐだし、序列が出来上がっている(しつこいけど、俺が最下位だよ!)けど、蜜会で集まったメンバーの心の中に、確かな『仲間意識』が芽生えたと思う。
それは、心強くて安心できるものだった。
『明子さん、家まで送るよ?』
『いや……中山さんは私が送ろう。柏木君にはやってもらわなくてはならない仕事があるのでな』
明子さんに声を掛けた俺の後ろから、メガネを光らせた泉兄の声が聞こえた。
『えっ? そ、それは……?』
嫌な予感がしてたんだ。
そもそも、『この俺』が仲間でいる理由だよなぁ……
「へぇ~。ずいぶんと綿密な計画じゃんかぁ」
谷木さんは唸りながら、その計画に目を通していた。
「いやぁ。けどさ、これ実行するの大変だぞ?」
嬉しそうに俺を覗き込む。
だから、今、その作業をやってるんでしょうが!
俺が!
『公安』というコネやら権利とやらを使って!
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