★ 俺にできること

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「柏木、この書類どこからの依頼だ?」  泉は難しい顔をして、印刷機から排出された乗客名簿を寄越した。 「あー? これか? これは……」  俺はデスクに戻って依頼書を確認した。 「依頼元は外事3課の――主任だな。それがどうかしたのか?」  泉は久しぶりに見る”仕事の顔”になっている。  懐かしく感じる目つきの悪い顔が俺を見据えて、口を開いた。 「柏木、例の計画、潰されそうだ、って?」 「はあ~? なんでだ? 予算オーバーか!?」 「いや、そうじゃなくて。――外事だ」 「外事? 外事って、この外事か?」  俺が書類をピラピラ振ると、泉は眉間に皺を寄せた。 「お前……、谷木さんから何も聞いてないのか?」  また、それか!? こいつまで、それを言うか!?  「もう、いい加減にしてくれ!   俺は一体、何を聞かされてないんだよ?  最初は明子さん、次は泉兄、そして、お前までっ!  どんだけ、俺を追い出す気だ!? あぁー!?」  身を乗り出して捲し立てる俺の勢いに圧倒されたのか、泉は表情を柔らかくして、俺の肩に手を置いた。
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