★ 俺にできること

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「まあ、待て。落ち着けって。  お前……、谷木さんの下、大変だな……」  泉の同情的な眼差しに、俺は一瞬涙ぐみそうになった。 「泉! お前、分かってくれるか!?   そうなんだよっ。  いつも自分勝手でさ! 俺にはなんの説明もなしに動いてさ!」  俺が興奮して愚痴ると、泉は眉毛を下げ、うんうんと相槌を打ってくれた。 「それにさぁ、この間の計画だってさ。  俺がやっと提出した書類持って行ったきり、行方不明だよ?  そんな上司いるか?」  俺はここ何日かで急激に溜まったストレスを、泉にぶつけるがごとく吐き出した。 「もう、我慢しないぞっ。俺は言ってやるね!  谷木さんに、ビシッ! っと言ってやる!」 「へえ~、何を?」 「だから!! 谷木さんのっ! ――へっつ!?」 「何を言うんだ? 柏木? 言っちゃえよぉ。ビシッ! っと。  今、ここでさぁ?」 「ひっいぃぃぃ!!」  泉の肩越しに、指をポキポキ鳴らしながら、ゆっくり歩いてくる谷木さんが見えた。 「お前さぁ~。――お約束すぎ……」    おでこに手を当て、悲壮感丸出しで泉が呟いたらしいけど……、俺の耳には全く入らなかった。
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