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「久しぶりじゃんか、泉。どの面下げてやってくるかと思えば……。
元気そうだな。何しに来た?」
谷木さんが剣呑な瞳を泉に向けていた。
どうやら、ものすごく機嫌が悪そうだ。
「谷木さんと同じ目的ですよ。
言っときますけど、こっちの方がムカついてるんです。
これだから、公安は信用できない!」
泉は谷木さん以上に機嫌が悪そうだ。
「お前な。外事のやることに手ぇ出せるわけないだろうが。
俺だってな、頭に来てるんだよ。
大体、お前、泉部長から何も聞いてなかったのかよ?」
「聞くわけないでしょうが!?
あっちは公安部長ですよ!?
谷木さんこそ、直属の部下でしょうが!?」
二人の言い合いがヒートアップしたところで、俺は思い切って声を掛けた。
「ちょ! ストーップ!
何のことだか、説明してくださいよ!
谷木さん、今までどこにいたんですか?
あの計画が潰された、ってどういうことですか!?
これ以上蚊帳の外に追い出されたら、俺、本気でキレますからねっ!」
谷木さんは流し目で泉を睨みつけてから、頭に手を置いて髪をかき乱した。
「あぁ~っ! いや、お前には悪いと思ってるよっ!
――まあ、ちょっと座るか……」
脱力したようにそう言って、資料室を顎でさした。
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