★ 秘密の報告部屋

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 東京有明マラソンで出回った麻薬。通称【バタフライ】  LSDの幻覚作用を強くさせた改良型、だけじゃなくて、その上から何らかの催眠を上乗せしたらしい、という今までに類をみない謎だらけの麻薬だ。  使用した人間は、独特の幻覚作用を伴い、目的を持って行動する。  その目的達成のためには、恐ろしいほどの攻撃力を有することから、『洗脳された強靭な兵士さながら』とまで言われている。  実例をあげるなら、ゾンビ化した大田元警部補に泉が刺された、っていうアレ。  そして、これが一番特徴的でもあるんだけど、【バタフライ】を使用した者は時間と共に、薬に関する一切の記憶を無くしてしまう。  そんなんだから、ただでさえ足取りを追うのに困難を極めるっていうのに、結局あれ以来【バタフライ】はプツリと姿を消してしまった。  全ては闇に葬り去られたみたいに。 『泉、組対の見解は【バタフライ】は試験的に使われた可能性が高い、だったけか?』  谷木さんの言葉に、泉は大きく頷いた。
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