★ 秘密の報告部屋

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「結局、俺達は真田とロバートに利用されたんだよな?」 「えっ!? そうなんですか?」 「そうだろう?   真田は、ロバート松岡がCIAだって知っていたはずだ。ついでに、日本警察が手出しできないこともな」 「いや、だって! じゃあ、真田は何のためにロバートとチャットしていたんですか?」 「おそらく、ロバートが宝田光に会いたがっているのは本当なんだろう。  で、あんな分かり易いチャットルーム用意して、ユングとフロイトとか初心者でもわかるIDネームまでつけてさ。  俺たちがホイホイ食いついて、お膳立てされた『親子の対面』で感動の再会、もしくは連れ去るつもりだったのか……。  くそっ! まんまと引っ掛かったよな……」  谷木さんが珍しく、悔しそうに顔を歪ませた。 「でも……、結局は外事から”待った”が入ったわけですし……」  何をどう反応していいのか、俺は困惑していた。 「それは……、雄一郎さんだよ」 谷木さんが吐きだすように、泉兄の名前を出した。 「雄一郎さんが、『柏木を噛ませて公にして事を運ばせろ』って譲らなくて。  あの人の協力がなかったら、泉から宝田光を引っ張りだすこともできなかったしな。  そうじゃなかったら、俺は泉部長にも報告せずに、事を運ぶつもりだった……」 「えっー!? どんだけ無茶しようとしてたんですかっ!?」 「だって、ロバートをさぁ。捕まえたかったんだもん」  俺が最大級の非難の眼差しで睨んでいるっていうのに、谷木さんはおどけて肩をすくめてやがる。 『だもん』じゃねぇ! 唇を尖らせるんじゃねぇ! 肩を持ちあげるなっ!  ったく、谷木さんがそのまま暴走してたら、それこそ真田の思うツボだったわけじゃねぇか!  谷木さんらしくない! 全く谷木さんらしくない!
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