★ 秘密の報告部屋

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「なんでまた、そんな暴走したんんですか!? いくら、ずっと追ってたからって」 「柏木。とりあえずさぁ、予定は決行するぞ。  連絡係は俺がする。Xデーは……。で、場所は……」  谷木さんは俺の非難の言葉を簡単に遮り、何やら一人で考え込んだ。  きっと、谷木さんの頭の中では今、文字やら数字やらがぐるぐる回っているんだろう。  何やら走り書きをしたり、途中で止めたり。手の中のペンがあっち行ったり、こっち行ったり、踊っている。  正直、俺は谷木さんの頭の中を覗けるわけじゃない。  俺はいわば、レジスターの前に立つ客だ。  カチャ、カチャ、カチャって、数字が打たれているのをただじっと眺めるんだ。  そして最後に、合計金額を言ってもらわなきゃ、財布を開けることができない。  チーン!  どうやら、計算は終わったようだ。  谷木さんが目を光らせて俺を見ている。  あぁ……。いくらになるのかな……俺の財布で払えるのか?  きっと有り金全部持っていかれるんだろうなぁ。  ――俺はため息を飲み込んで、腹をくくった。
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