★ 秘密の報告部屋

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「おっ、いずみぃ~! やるなぁ~。お前小西部長の部下辞めて、俺の下に着くか?」 「絶対に、お断りです。   ついでに、今回は異例中の異例ですからね!  もう二度とこんなこと、ごめんですから!」  嬉しそうな谷木さんとは裏腹に、泉は剣呑な表情を露わにした。 「泉さぁ。お前どうやって、こんな情報手に入れたんだ?」  あんなに嫌がる泉が気になって、俺は何の気もなしに聞いてみた。  けど、ギリギリと奥歯を噛みしめる顔を見て「あ……いや、マジで余計なこと聞いてすまん」と思わず謝った。 「柏木~、お前、勇者だなぁ~。俺は怖くてそんな事、聞けねぇぞ~」 「良く言いますよ! 人の弱みに付け込んどいて!」 「しょうがねぇじゃん。泉部長のガードって、半端なく硬いんだぜぇ~?   執務室は毎日、盗聴器探査してるしさぁ~」  二人のやり取りを聞いて、俺は背中に冷たいものを感じた。    つまり……あれだよな……。泉部長に対して――。盗聴……? 「柏木! 頼む! 詮索しないでくれ!   これは、本当に異例中の異例だ。頼むから明子さんにも言わないでくれっ。  バレたら何人もの首が飛ぶ!」  俺に向かって手を合わせて懇願する泉の姿を見せられ、物騒なセリフでビビらされ、俺は冷や汗をかきながら慌てて首を縦に振った。
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